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重要判例・不動産

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裁判所 内容 備考
東京地裁

地方都市で駐車場を遺産相続し保有する未亡人に対し、大手業者が当該土地上に賃貸マンションの建設を持ち掛け、建設、管理、運営(サブリース)を請け負う契約を締結したが、マンション完成後に想定した家賃収入が得られず借入金の負担が重いことから売却を余儀なくされた未亡人が業者に対し、虚偽・不当な勧誘、説明義務違反を理由に不法行為に基づく損害賠償を請求した事案で、未亡人側の主張が一部認められ5000万円超の支払いを命じたもの。

  • ●空室発生の際の家賃保証の説明や、景気変動による賃料相場の下落の説明,不動産賃貸事業のリスクの説明に関しては、未亡人の主張は採用されず。
  • ■事業収支シミュレーションの想定修繕費が相場と比較し過剰に少ないことが不正確な説明を業者が行ったと認められた。
  • ●未亡人が駐車場経営を行っているという属性が不動産賃貸ビジネスのリスクの把握と認識にどの程度寄与しているかが随所に問われた。
マンション建築代金として銀行より約3億5000万円を未亡人が銀行より融資を受けている。
裁判日時
平成26年
11月
内容
賃貸マンション
建設
サブリース
裁判所 内容 備考
最高裁

不動産賃貸業を営む会社Aが所有する建物を、ゲストハウス(外国人むけ短期滞在型宿泊施設)を複数運営する法人Bに、定期借家契約として5年間賃貸した後、期間満了を理由に明け渡しを求めたがBは定期借家契約である旨説明を受けていないとして明け渡しを拒否し、定期借家契約の成立の成否をめぐって最高裁まで争われたもの。

  • ●当初の契約書には『定期建物賃貸借契約書』と表記されていた。
  • ●『更新はない』と記載されている一方『再契約可能』の文言もあり、Aの担当者も『再契約は可能なので心配ない』と口頭で説明していた。
  • ●契約書とは別に定期借家に関する書面は交付されていないとの諸事情あったが、定期借家契約は成立していないとの判断が最高裁で示された。
(以下判決理由より抜粋)
”38条1項の規定に加えて2項の規定が置かれた趣旨は、定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って、賃借人になろうとする者に対し、定期建物賃貸借は契約の更新がなく期間の満了により終了することを理解させ、当該契約を締結するか否かの意思決定のための十分な情報を提供することのみならず、説明においてもさらに書面の交付を要求することで契約の更新の有無に関する紛争の発生を未然に防止することにあるものと解される。(中略)
したがって、2項規定の書面は、賃借人が当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、契約書とは別個独立の書面であることを要するというべきである。

一審はAが勝訴

*借地借家法38条
  • 1項)期間の定めのある建物の賃貸借につき契約の更新がないこととする旨の定めは公正証書による書面等によって契約をする場合に限りすることが可能。
  • 2項)そのような賃貸借をするときは賃貸人はあらかじめ、賃借人に対し、当該賃貸借は契約の更新がなく期間の満了により当該建物の賃借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
  • 3項)賃貸人が当該説明をしなかったときは、契約の更新はないこととする旨の定めは無効となる。
裁判日時
平成24年
9月
内容
定期借家契約
の成立要件
裁判所 内容 備考
東京地裁

法人Aが投資用として住居系ビル1棟を購入したところ、建物の1室の賃借人が暴力団関係者だったことが判明し、売主に対しては売買契約の特約条項違反を理由とした債務不履行や瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求を、仲介業者に対しては調査説明義務違反を理由とした損害賠償請求を求めた事案で、法人の訴えが認められなかったもの。

  • ●外観上はまったく普通で暴力団員が居住する態様は感じられず、所有者及び管理会社は知らなかった。(近隣からの苦情等一切なし、会社員と自称)
  • ●法人Aが引き渡しを受けた後管理を地元会社に依頼したところ、その旨を知らされ、関係団体等に確認をとった結果広域暴力団の構成員であることが判明したもの。
  • ●入居者の属性に関する事柄は、個人のプライバシーに関する事柄なので、その調査方法、程度について必然的に一定の制約を受けざるを得ない。又、仮に仲介業者が公的機関に身元照会していたとしても、照会先に回答義務があるとか、積極的に情報提供する責務を負うものとは解されない。
    → よって仲介会社に調査義務違反は認められない。
  • ●隠れた瑕疵の存在が認められるとしても、法人Aの主張する損害額が売主の賠償すべき損害額とは認められず、賠償すべき損害額を適切に算定することができる証拠もないことから、瑕疵担保責任による損害賠償請求は認められない。

売主は競売で当該ビルを購入したが、その時点で暴力団組員は居住していた。(売主は善意)

満室時想定利回り9.7%で売りに出されており、暴力団関係者の居住は安定した賃料収入の確保に支障を及ぼす要因と認められ、売買価格の設定に影響を及ぼす要因となることから、『隠れた瑕疵』と認められる。

”瑕疵担保責任は有償契約における当事者間の対価的均衡を確保することを目的とする制度。”
(判決理由より抜粋)
→ 得べかりし利益や第三者に払った遅延損害金は賠償の対象外。
裁判日時
平成14年
8月
内容
瑕疵担保責任
調査説明義務
債務不履行

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”部分最適”より”全体最適”
”部分最適”と”全体最適”という考え方があります。これを賃貸経営や不動産取引、会社経営に置き換えるとどうでしょうか?

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